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「ただいま〜」



といっても一人暮らしでは返事など帰ってこないのが当たり前
だが、挨拶を忘れるのが癖にならないよう、こうして言葉に出すのが日課になっている
鞄を部屋におき、洗面所へと足を運ぶ
遊び半分で石鹸を泡立てながら今日の晩御飯のメニューを考えた



そーいえばアスランも一人暮らしだって・・・・
あいつきちんと食事取ってるのか?
集中するとまわりがみえなくなるからな
でも、案外几帳面だし真面目に作ってるよな
料理とかも私よりも上手いかも・・・・
今度聞いてみようかな!



手洗いが済むとキッチンへ行き、ミネラルウォーターを冷蔵庫から取り出す



ゴロゴロ・・・・・



無機質な音が耳に入る
窓の外を見やれば、黒と灰色の絵具を混ぜ合わせたような空が覆っていた
やがて大きな雨粒が地上を支配する
夕立だ



「また来やがった、まったく夏に近付くとこれだ」



舌打ちしながら、分厚いカーテンを閉める
それと同時に家の電話が鳴った
着信通知は久しぶりの兄弟のもの
カガリは慌てて通話ボタンを押す



『カガリ元気?』
「キラv私は元気だぞ!」
『そっか最近電話も出来なくてゴメンね』
「いや、いいんだ 忙しいのは分かってるし 頑張ってるよな」
『そう言ってもらえると嬉しいや カガリも実習の方始まったんだよね』
「ああ、楽しいぞ!!」
『カガリは将来、先生になるのが夢だったもんね その夢が着実に近付いてるんだ』
「へへっ なんか照れくさいな」
『頑張ってる証拠だよ』



兄の激励の言葉に心はとても軽くなった
キラは就職してから研究に日々を費やし、あまり家族との時間が取れなくなっていたのだ
むろんカガリも大学入学後に家を出たもんだから、
二人して会う約束をしない限りは、まったくと言っていいほど会わない
だからこそメールや電話も頻繁にしているが最近はめっきり忙しくなったせいか電話すらもなくなった
ちょっぴり心配はしていたものの、疲れているであろうキラに遠慮し
電話するタイミングが掴めないまま連絡を待つ身になっていた



『今週末に休みが取れそうなんだ そうしたら顔でもだすよ』
「ああ、無理しないでくれよ」
『ありがとう』
「私も久しぶりにキラの顔も見たいしな やつれてたりしたら承知しないぞ!!」
『これはまた怖いな〜』
「ウソ、ウソ 元気でいればそれでいいさ」
『うん、カガリも頑張って』



短いといえばそういえるかもしれない
もっと長く話していたい気持ちもあった
が、キラの持てる時間を配慮し会話もなるべく手短に抑えたのだ



「ん〜」



カガリは受話器を置くと背伸びをする
さ、早く御飯食べてシャワー浴びて・・・・
明日も元気に頑張るぞ!!



゛カガリも頑張って゛



誰よりも優しい兄
誰よりも自分を理解し、助け合ってきた
キラにそう言われるだけで自分のエネルギーになる
きっとそれはこの世で唯一、血を分けた兄妹だからなのだろう
週末、キラに会えるのを祈りながらカガリは御飯の仕度を始めた・・・・





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うちのキラはお兄様ですw
2012/01/29