honey
バスルームに響く口笛
シャコシャコと洗われていく刹那
猫は風呂が嫌いともあり、
初めはめちゃくちゃ抵抗したのだが、数分の格闘の末、
体力があった方の勝ちということで、ニールの好きにさせられている
眼を睦って、時折気持ちよさそうにしていた刹那だったが、
ふと視線をニールにうつすとシャボン玉に目を引かれ、ジャンプしてしまった
勿論、ニール本人は泡だらけになり一緒に風呂に入る羽目になる
「まったく、お前は・・・そんなに珍しかったか?シャボン玉」
「ニャーゥ ニャー」
お風呂上り、ブオ―とドライヤーの風に身を委ね、顔をそむけている刹那
段々ときれいに仕上がる姿にニールも満足だ
「ほらよ、出来上がり お前綺麗な毛並みしてるなぁ」
ニールに撫でられプルプルと身を振り、毛並みを整える
チョコンと鏡の前に座らされると、自分と同じ姿のもう一匹の子猫が映り驚いた
真っ黒い毛並みに金の瞳
「ニャッ?!」
またもや、始めて見るモノに恐る恐る近づき匂いを嗅ぐ
「あはは、刹那 大丈夫だ これはお前だよ」
コンコンと鏡を指で叩く
見上げれば、ニールが笑顔でいる
敵ではないと判断すると、少し眠くなる
「お、なんだ また昼寝か?」
「ニャー」
慣れない手つきで、目をこすり、あくびをする
風呂場で体力を消耗した子猫は再びまどろみの中へと意識を委ねた
「あ、もしもし?アレルヤ?ウチ猫拾ったんだよ」
「兄さんてば、自慢かよ・・・」
『珍しいね、ロックオンが猫拾うなんて』
「雄だ まだ子猫でさ〜超可愛いんだぜ 一度、ハレ連れて見に来いよ」
膝枕でスースーと眠りに就く刹那の背中をゆっくりと撫でながら、ニールは会話を続ける
『わかったよ 近いうちに遊びに行くから 勿論、ハレルヤも連れてくよ』
「おう、よろしく頼むわ」
『でも、ハレルヤたまに、気性が荒れてる時があるから、子猫大丈夫かなぁ』
「そん時は、そん時だ 大丈夫だよ じゃぁな」
あのお天気屋のハレルヤはどんな反応を示すのだろう
そんな空想を思い描きながら、自分もベットへと移動し眠りに付こうとする
小さな刹那をつぶさないように、枕元にそっと寝かせキスをした
「おやすみ、刹那 いい夢を」
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2012/01/27