honey





「ニャー」



ふと、その声に足を止めた
目の前の段ボールには姿はない
ニールはぐるりと公園内を見渡す
すると横倒しになっているドラム缶の中にソレはいた



「ニャァ」



近づいても逃げないそぶり
ニールは思い切って手を伸ばす
すると猫の方から近寄ってくる
薄汚れた、けれども柔らかい毛並みが触れる



「お前可愛いなぁ」



まだ子供の猫を抱きあげ懐に入れる
グルルと満足げに喉を鳴らす子猫はしばらくすると深い眠りに落ちた



「どうしよ・・・・これ」




















「それだけの理由で連れて帰ってくるなよな、兄さん」
「いいじゃねーか、ライル 男二人で味気ないだろ」
「って、こいつも男だぜ」
「あれ?ホントだ」



苦笑い



「まずは洗濯だな」
「ニャーニャー」
「なんだミルクが欲しいのか 待ってろよ」
「先に飯か・・・名前考えないと不便だろうに・・・」
「うーん・・・・よし、お前の名前は刹那だ」
「ニャー」



返事の代わりに子猫は鳴いた
それに続くかのようにライルは、飲んでいたコーヒーを吹く



「なんてへんてこな名前をつけたんだよ」
「うるせー俺の勝手だ」



ミルクを皿の上に零し、刹那を抱きかかえる
刹那に皿を差し出すと、恐る恐る近づき、
ピチャピチャと舐め始めると、あっという間に空になった



「ほんじゃ、腹も膨れた事だし、風呂でも行くか!」
「ウニャ?」



軽々と片手で持ち上げられ、刹那は訳のわからないままだった
















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2012/01/25