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「アスハ先生、ちょっと手伝って欲しいんだが」
「はい」



ミーティングも終わり各自1時間目の授業の仕度を始める
カガリもアスランの授業に同行する
が、その前に今日は準備室に資料を取りに行かなければならないらしい



「女性に手伝わすのは非情に心苦しいんだが・・・・・」
「いや、バンバンこき使ってくれ これも修業の内だ」
「カガリは本当に先生になりたいんだな」
「なんだよ、その言い方は・・・・」
「悪い意味じゃないさ ほかの子と比べて勉強熱心だし、今朝も朝礼の際、一生懸命ノートに書き込んでたじゃないか」



いつも見ている口ぶりに、カガリはほんのり赤くなる



「や、それは当たり前の事であって・・・・・」
「少しは認めてもいいと思うよ?自分は頑張ってるって」
「そうか?」
「ああ、俺が保証する」
「なんだか嬉しいな」



アスランは照れ笑いするカガリを温かく見つめた



「・・・・・・昨日の続きなんだが」



カガリは肩を震わせた
その動揺さにアスランはカガリがラクスに聞いたか聞いてないかすぐに理解できた



「納得いった?」
「・・・・・うん」
「よかった カガリ、俺の事真剣に考えて欲しい」



今までの分、
これからも君を・・・・・



「アスランは・・・私でいいのかよ」
「いいからこうして口説いてるんじゃないのか?」
「だって・・・・」



高鳴る鼓動が聞こえた
夢じゃない?
本当に、あの時の続きから始めていいの?
嘘だって言わないで・・・・・・・
アスラン















「俺と付き合ってください カガリ・ユラ・アスハ殿」


















そう言って、アスランはカガリの右手を手に取り口づけを落とす



「何してるんだ!!誰かに聞かれたらどーするんだよ!」



カガリは真っ赤に染まりながらも冷静を保っていた
学校の準備室の中じゃないか、下手に廊下に誰かいたら・・・
部屋の隅に追い込まれ、自分を囲うように両手を壁に付かれては逃げ場がない



「アスラン」



至近距離でアスランの顔がある
顎を掴まれて、顔を逸らす事すら不可能だ



「カガリ、逃げないで」



二度と繰り返したくない
9年前の自分の失態
手放したくない
目の前にいるこの愛しい人を
信じたい
だから、精一杯
自分の思いを伝えるから
神様、どうか
私から彼を奪わないで
伏せ目がちにカガリは耳まで真っ赤にして口を開く















「・・・・・答えは・・・YES、だ」















その言葉を合図に、アスランは目を見開いた
そしてそのまま彼女を思いっきり抱きしめた



「カガリ・・・」



やっと見つけた
自分のあるべき場所、いるべき場所を
離すもんか
何があっても絶対に
アスランは小さな姫君に4度目の甘い口づけを落とした



逢いたいと願っていた
あなたにもう一度
この想いを伝えたくて
あの時忘れた微笑を
私の元へ取りに来て
儚い思い出たちは 優しく私に微笑んでくれた



「でも、いいのか?私で・・・・・」
「そんな事はないさ カガリは俺の恋人なんだから」



そう言い聞かせて、アスランは彼女の腰に手を回し抱き寄せる
カガリもアスランに己の体重を授けた



恋人・・・・・



いつまでも耳に残る言霊に
カガリは嬉しくてたまらない
いつか夢見ていた言葉
そうなるんだと信じていたあの頃
そして、儚く散ったはずの初恋
遥かなる時を越え、漸く二人は結ばれた



「私は・・・・やっぱりアスランしか好きにならないな」
「カガリ・・・・」
「初恋も、この先も、ずっとだ」
「俺も君以外は嫌だな」



啄ばむような口づけ



「好きだ」



初めて告げられた言葉
ずっと夢見てきた言葉
ソレはとても新鮮で
鮮明に心に響いた



「私も・・・・好きだから アスランのこと」
「俺のほうが愛してるな」
「バカ」



互いに鼻をくっ付けたまま
クスクスと笑い合った



心に閉まった幼い記憶
懐かしさだけが残る前に
思い出が重なるその前に
一度目の初恋も
二度目の初恋も
好きな人は
必ず貴方であるように
瞳そらさずに、
強く、強く 手を握ろう






-fin-


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ここまで読んでくださりありがとうございました!!
番外編もありますので是非、読んでくださいねw

2012/02/12