honey



ライルの部屋にはガンプラが揃っていた
その中でも、一際目立つ白とブルーのコントラストのガンプラ
その名もエクシアと言っていた
俺はそれがお気に入りだった
だから、目を盗んではライルの部屋に入り込み、時間さえあればずーっと見ている
俺を虜にするこの高揚感
何なのだろう・・・



「ああっ、また・・・刹那、ダメだろう ここにいたら怒られるだろ」
「ニャーーーーーーゥ」



もう見つかってしまった
ニールだからといって捕まるわけにはいかない



俺だって少しぐらいここに居てもいい権利があるはずだ!



「ちょ、待て刹那!」



持ち前の運動神経をいかんなく発揮し、ニールをスルリとかわす
衰弱しきってきたときに比べて、随分、体力が戻ってきたようだ



「この機関坊めがっ」
「兄さん、何して・・・って、ちょ、マジやめてくれ!!俺のガンプラが壊れるからっ」
「仕方ないだろ、刹那が出入りしてるんだ 捕まえてくれ!」
「刹那がっ!?またかよっ」
「ウニャー!!」
「いてぇっ」



逃げようとした刹那は、ベシっと音と共に、急に現れたライルの顔面に飛びかかってしまった
しかも、爪だしで・・・・















ゴンと音と共におとされるげんこつ
中々、痛いものだった
刹那はシュンとする



「そんな風にしてもダ〜メ お父さんは許しません」
「いつから父さんになったんだよ・・・にしても、子猫の爪は鋭いな」
「ごめんなライル、痛かったろ」
「いや、女の子にひっぱたかれるよりかはましだ」
「前言撤回だ 刹那、遠慮なく行け」
「ナォーン」
「うそうそ、これ以上顔に傷だけは勘弁」



首根っこつかんで刹那を目の前に差し出されたライルは、慌てて首を横に振る



「どうして刹那はいつもライルの部屋に入りたがるんだ?」
「俺のガンプラ目当てだろ?いつも見てるもんな 特にエクシア」
「そうなのか?にしてもまたなんで・・・」
「猫の気持ちなんてわからん」
「だよなぁ・・・」
「ニャァ!」



ボリボリと頭をかき、悩むニールを横に、刹那が「エクシア!」と叫んでいたのは知る由もない



「そうだ、爪とぎ機買わないとな・・・」
「そうしてくれ」



絆創膏を頬に張りながらライルは呆れ声で言った
刹那の大人になる道のりは長かった・・・・






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2012/02/02