君の視線のには、いつも





「ふい〜兄さんの命中率からして70%か」
『70%、70%』
「うるせーぞハロ」



コックピットから降りると、パイロットスーツを緩め汗を拭う



「またシュミレーションか」
「刹那」



いつも優しい視線が一瞬だけ彼に注がれる
しかし、ライルはあえて無視をした



「お前は何してるの?」
「エクシアの整備だ」



隣に並ぶエクシアのピットからは無数のコードが繋がっており、モニターとにらめっこする刹那の姿があった



「ご苦労さん んじゃな」
「ああ」



そういい、ライルはさっさとその場を去った










「今日は何もなかったね」
「連日、アロウズとの戦いだからな」
「骨休みにはちょうどいい」
「少し航路を変更したらどうかな」
「どういう意味だ?」
「その方が見つかりにくいってこと」
「スメラギ氏に提案してみるよ」
「刹那、人参を残すな」
「・・・・了解した」



食事の時間、まじめな話をしているにもかかわらず、最年少の刹那への配慮は相変わらずだった
部屋に戻ろうとすると、視線の先に刹那の後ろ姿があった
別に用はないが、名前を呼んでしまった



「刹那」
「――なんだ」



相変わらず、無愛想な返事
兄さんはこいつのどこが・・・・
ふと、考えてしまう
そして悪い考えが頭に生まれた



「こっち」
「?」



呼んでみると大人しく従う刹那に、ライルは飛びついてみた
すっぽりと抱きしめてみる
刹那は着やせするタイプなのか、しなやかな筋肉の下に華奢な体がある



「な、何をする!」
「別に〜」
「離せっ」
「なんだよ、兄さんには黙ってされていたんだろ」



その瞬間、ビクリと刹那の体が固まった
予想通りだった
しかし、刹那はライルの思いを覆す



「お前はニールじゃない だから離せ、ライル・ディランディ」





「・・・っ、じゃぁなんでいつも見てきたんだよ」



「それはお前が、ニールの家族だからだ」



小さいころから比べられていた存在
いつも真似してはそっくりと言われてきた自分
なのに、彼は違うと言う
ライルに小さな動揺が走る



「ニールは死んだ 死んだんだ・・・」



力を失った腕から、刹那は離れて行く
無重力空間ではあっという間に距離が生まれた



「お前、本当に兄さんの事・・・」
「愛していた」



刹那の瞳には揺ぎ無い想いが浮かんでいる
そして、胸の奥底にくすぶる感情が生まれた











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2012/01/25