君の熱 僕の熱
ボギーワンの追尾をあえなく断念し、
暫くは待機していたミネルバに、ユニウスセブンが降下していると知らせが入った
その第一報は議長の口からカガリの耳にも伝えられた
落ち着きを隠せない彼女は、今の状況をもう少し詳しく分析し、解決策を導こうと
ブリッジに出向いたが、肝心な議長は休憩中
仕方なく、ギルバートの自室へと赴いた
「議長!今回の事態について話があるのだが・・・・」
ドアの前に立ち、中に聞こえるように声を張り上げる
「ああ、ちょっと待って」
「?」
中からは女性の声
部屋を間違えたか?
カガリは一瞬自分のミスに舌を鳴らす
「こんな格好でごめんなさいね」
そう言ってドアを開けてくれたのは艦長のタリア
着ている服は軍服ではなくバスローブ姿だ
「!?」
カガリは目が点になった
彼女の後ろにくっ付いていたアスランもまた例外ではない
タリアと目が合うとパッとすぐに逸らしてしまう
部屋の奥にはタリアと同じくバスローブに見を包んだギルバートが書類に目を通しながら寛いでいる
「・・・・・・・・・・後でいい」
カガリは溜息交じりでその場を去った
「姫には刺激が強すぎたかな?」
「あら、平然としてましたけど?そうでもないみたいですよ?」
まさか、カガリとアスランが恋人同士だなんて、
二人にとって考えもつかぬ事だった
脱力しながら部屋へ戻る
ライトも点けていない薄暗いこの場所
先に入ってきたのはカガリ
それに従うようにアスランも続く
さすがに気まずい・・・
カガリの後ろに控えていたアスランも、勿論その光景を目の当たりにしていた
今更ながら恥かしくなってきた
議長も恋人がいたんだ・・・・・・
しかも軍人で艦長とは・・・・
もちろん、私だってアスランとは恋人同士だけど?
キスだってしたさ!!
でも・・・・・その先がどうも踏み込めない
忙しくて恋愛なんてしている暇なんてないのも事実だけど
アスランはそれでいいのか?
後ろに居る彼のことが気になるが
振り返るだけの勇気がない
こんな時に限ってアスランも黙ったままだ
なんだ?
気にしてないのかな?
そうだよな、アスランも皆に名前がばれたりで大変なんだ
「アスラ・・・・」
振り返って声を掛けようとしたが、強い力で封じられる
「?!」
驚いて自分の立場を分析する
「カガリ」
耳元で響く彼の声は、身体の芯を熱くさせるには充分な代物で
普段より熱を帯びている声音に、カガリは思わず身震いしてしまう
「・・・・アスラン?」
「ゴメン、不謹慎だよな」
その言葉にカガリは驚愕した
もしかして、いつもそう考えていたのだろうか?
自分は代表という立場で、彼はただの護衛・・・・・
悪く言えば使い捨ての駒・・・・
「そんな事っ・・・ない」
だけど、自分はそんな風に思ったことは一度もない
アスランだから
側にいて欲しいから
専属の護衛役をお願いした
寂しい時も、悲しい時も、辛い時も
いつも彼と一緒なら大丈夫と
そう思ったから
「ゴメン もう少しだけ・・・・・そしたら戻るから」
自分を求めてくれている事に自然と心が躍る
きっと女であるという自分のせい
いつもより早まる鼓動に、苦しく締め付けられつつも
カガリは己の気持ちを素直に伝えた
「嫌じゃないよ 私は」
「カガリ・・・・・・」
彼にとって思っても見ない言葉に目を大きくさせる
カガリは彼にしがみ付く
「・・・・そんな事を言ってると我慢がきかなくなる」
「・・・・・・いいよ」
真っ赤に頬を染め、彼女は呟いた
そんな彼女の言葉にアスランは瞳を揺らす
見下ろせば、カガリの琥珀の瞳とぶつかった
自分の言っている事が何を示すのか、
いつもの彼女なら気がつきもしないのに
今日に限って違うようだ
「カガリ・・・・」
キュッと結んだ掌は微かながらにも、震えている
「無理するな 嫌だって言っても・・・・止められないぞ?」
「・・・・うん 平気だ」
カガリはゆっくりとした動作でアスランに寄りかかる
フワリと香る彼女の香
こんなに近くにいるのに
彼女を守れる立場になったのに
実際には彼女との距離は決まっている
いつも陰ながら彼女を見守っているだけの存在
すべては護衛という任務だから・・・・
いつからだろう、こんなに胸を切なく痛め始めたのは?
『カガリを愛している』という気持ちが己の自制を狂わせる
自分で自分の首を締めながら、一日が過ぎるのをただ待つだけ
彼女もそう思っていてくれた?自分と同じ痛みを持っていてくれれば
これ以上の嬉しい事は無い
「私は・・・・・アスランに・・・・・・・」
゛抱いて欲しい゛
「カガリ・・・・・・」
アスランはカガリをベットの上に寝かせ
自分も抱きしめるようにして、負担の掛からぬよう彼女の上に覆いかぶさる
啄ばむようなキスを繰り返しながら、少しずつ着ているものを剥いでいく
「んっ・・・」
薄暗い部屋の中、星の光が彼女の白い肌を仄かに照らしている
まるで壊れ物を抱くかのように、優しく丁寧に唇からその肌へ赤い印を散らしていった
「アスラン・・・・好き」
「俺もだ、カガリ」
絡めあう指先を握り返しながら、二人はお互いの存在を確かめ合う
芯と静まり返る宇宙が広がる小窓
そこから漏れる僅かな明かりだけが
愛に燃え上がる二人を見つめていた
「アスハ代表、議長がお話があると・・・・・・」
やってきたのはタリア艦長
それに応えてドアを開けたのはアスランで
きちんとした格好だが、ちょっとだけ髪が乱れている
「すみません、あと少し待っていただけますか?」
「え?」
「代表、疲れて眠ってしまったんです」
あくまで部屋の中を見せないように
アスランは長身を生かし、ピンと背筋を伸ばしタリアに覗かせないようにする
「??わかりました では2時間後ぐらいでも?」
「助かります」
彼の照れ隠しする表情に疑問を持ちながら、タリアは大人しく来た道を戻っていった
そして約束の時間ギリギリまで
添い寝するアスランの腕の中で
無邪気にスヤスヤと眠る一人のお姫様の姿がありました
back
はい ギリギリで止めました。そして最後は落ちで(苦笑)
ギルとタリアを見て思いつきました。
お子様カガリたんは実際に見たら真っ赤になってそれどころじゃなさそうだな〜☆
アスランも頬を染めながら彼女の心配をしてそう・・・・・
いつだってお預けアレックスさ(TーT)ふっ。
でも、こんな風な悩ましい関係の方が萌える(照)
2012/01/29